自然素材について

塗り壁を支えるのは「土」「竹」「砂」「漆喰」「珪藻土」などの自然素材です。

季節や気候により変化する自然素材を見極める自称「土ソムリエ」の三谷涼が、自然素材の可能性と魅力をお伝えします。

自然素材でできた土壁には、ウィルス除去・調湿・消臭・耐火・吸音など、多様な機能効果があります。

土・つち・Soil

[ 名詞 ]

  • 陸地の表面を形成している土砂・岩石などの総称。特に、風化作用などによって細かく砕けた岩石に有機物がまじったもの。土壌。
  • 地球の表面。地面。大地。(広辞苑より)

産地、収穫年によって、素材の性質が変わるのが土。 その奥深さは、まるでワインのようです。

水と混ぜることで土に含まれる微粒子が水分を吸着し、粘りが生じて泥の状態となります。最高の塗り壁を作るには、この「泥」の状態が、ゆる過ぎず硬過ぎず丁度良い具合でなくてはなりません。

土の配合は仕上がり色や施工場所の環境によって変わる為、施工前には土の性質と水分量のバランスの見極めが不可欠。

施工にベストな泥ができるまで、テストを繰り返します。

京都ぬりかべ屋三谷左官店代表 左官・三谷涼の幼少期

竹・たけ・Bamboo

[ 名詞 ]

  • イネ科タケ亜科に属する多年生常緑草本植物で、大型のものの総称。一般的には大型のものを「竹」、小型のものを「笹ささ」と呼ぶ。

土壁の土台は竹。
八分程度に裂き、棒状の竹=小舞竹(こまいたけ)を作ります。この小舞竹を格子になるよう縄で結び、土台となる竹の壁=小舞荒壁(こまいあらかべ)を作るのです。

竹の土台は通気性がよく、石膏ボードを下地とした土壁と比較すると圧倒的な調湿効果が期待できます。 また、竹自体のしなやかさが耐震性を生みます。 万が一の火災時も、化学物質を含んだ煙が出ず安心です。

京都ぬりかべ屋三谷左官店代表 左官・三谷涼の幼少期

砂・すな・Sand

[ 造 ]

  • 岩石が砕けた細かい粒。すな。
  • 粒状のもの。

土で作った泥の中に砂を混ぜることで、乾燥による収縮を軽減する効果があります。

しかし、「乾燥した時に割れると困るから」と砂を入れすぎると、今度は土壁自体の強度が落ちてしまいます。泥団子を作る時、小石が多すぎるとうまく纏まらないのに似ています。

塗っては乾かしを繰り返す際、何度目の塗りかによって砂の配合を変えて仕上がりを調整しています。

京都ぬりかべ屋三谷左官店代表 左官・三谷涼の幼少期

漆喰・しっくい・Plaster

  • 日本独特の塗壁材料。消石灰にふのり・苦汁などを加え、これに糸屑・粘土などを配合して練ったもの。広義には、石膏・石灰・セメントなどをそのまま、または砂などをまぜて作ったモルタル漆喰をもいう。白土しらつち。

蔵やお城の真っ白な壁。あれが漆喰の塗り壁です。

漆喰はその主成分が不燃性の物質である為、燃えにくいという大きな特徴があります。また、空気中の二酸化炭素を吸収して硬くなるという性質があり、傷がつきにくいのも嬉しい点です。

学校のグラウンドに白線を引く時に使われる白い粉、実は漆喰の原料=消石灰です。

京都ぬりかべ屋三谷左官店代表 左官・三谷涼の幼少期

珪藻土・けいそうど・Diatom earth

[ 名詞 ]

  • 珪藻の死骸が海や湖沼の底に沈殿してできた灰白色の堆積物。耐火材・吸収材などに用いられる。

耐火レンガや七輪に使われ、昔から生活のなかにある珪藻土。

珪藻土の粒子には小さな穴がたくさん開いており、湿度が高い時はその穴に水分を吸収し、湿度が低い時は穴に溜まった水分を出す為、調湿性に優れています。

珪藻土自体に固まる性質がないので、塗り壁として使う泥状にする為には、つなぎ剤が必要です。つなぎ材に化学物質を使うとせっかくの粒子の穴が塞がれてしまうので、三谷左官店では自然素材をつなぎ材として使用しています。

京都ぬりかべ屋三谷左官店代表 左官・三谷涼の幼少期

藁・わら・Straw

[ 名詞 ]

  • 稲・麦などの茎を乾かしたもの。俵・蓆などにつくる。
  • 産褥に敷くわら。転じて、産褥。赤ん坊。

土壁になくてはならない藁。

塗り壁の材料として使える藁を作るには「藁すさ」という状態にする必要があります。

「藁すさ」は、収穫した藁を水に浸してあくぬきし、叩きほぐして柔らかくしたあと、 必要のない節を取り去り乾燥させたものです。作る壁に適した長さにカットし、材料に混ぜ入れます。

補強、保水の他、塗り壁が乾燥する際のひび割れを分散させる効果もります。

京都ぬりかべ屋三谷左官店代表 左官・三谷涼の幼少期